サントノレの歴史と由来
パリにあるサントノレ通りにあった菓子店のパティシエであるシブースト氏 Chiboust によって、1846〜47年ごろに作られました。
サントノレ通りで誕生したので名前はサントノレと付けました。
パリのサントノレ通り Rue Saint-Honoré
当初はブリオッシュ生地にシャンティイクリーム(泡立てた生クリーム)が詰められていて、王冠の形をしていました。
ただ、ブリオッシュ生地がすぐに水分を吸い、生地がだれてしまいやすいという欠点がありました。
その20年後、シブーストの元弟子であったオギュースト・ジュリアン August Julien が改良します。
タルト生地であるパット・フォンセ生地 Pâte à foncer を底に敷き、その上に丸く絞ったシュー生地をキャラメルで接着して、その内側にはクレーム・シブーストを絞りました。キャラメルはシュー生地が湿気ないために使っています。
小さなシュー生地とクリームで、公爵の王冠をイメージしています。
その後、1950年にブリゼ生地を底にし、1975年にガストン・ルノートル Gaston Lenôtre がフォユタージュ生地を使うことをすすめ、今の形になりました。
クレーム・シブーストとは?
サントノレはシブーストクリーム (クレーム・シブースト Crème Chiboust)を使います。
19世紀当時は冷蔵施設がないため、生クリームや卵を使ったクリームは細菌の温床になっていました。
カスタードクリームは牛乳や卵を完全に火を通さない状態で使いますし、フレンチメランゲも卵白と砂糖でつくりますので火を通していませんので、現在でも食中毒のリスクがあります。
冷蔵施設のない時代であればなおさらです。
そのため、パティシエであるシブースト氏は熱したシロップと卵白を混ぜ合わせたイタリアンメランゲを使い、カスタードクリームとゼラチンを混ぜたクリームを考案しました。
火を通したクリームにゼラチンを混ぜて固めていますので、しっかりしたクリームになります。
これがシブーストクリームで、1840年ごろ前述のシブースト氏が考案して、彼の名前が付けられました。