タルトとは、生地で器をつくり、その器の中にクリームやフルーツなどをいれたお菓子のこと。
フランスのお菓子といえばタルトが多い。どのパティスリーにもタルトは必ず置かれています。
他のヨーロッパ諸国や日本では生クリームを塗ったタルトを見かけるけれど、フランスのタルトはアーモンド生地などと共に焼き込んだものが主流で、クリームはカスタードクリームなどを使い、クリームシャンティイを絞ったものは使用しないのが特徴。
また、生地だけ先に焼き、ガナッシュやレモンクリームを流し冷やし固めたタルトもあります。
フランスのパティスリーで作るタルトは、底のないタルト形で焼くのが一般的です。焼いた後に取り外しやすいし、底や側面がしっかりと焼けています。
3種類のタルト
フランスのタルトには3種類あります。
冷やし固めるタルト
生地だけを空焼き、クリームや果物を詰めて冷やし固めるタルトのことです。
例えば、以下のようなタルトがフランスで人気です。
- タルト・オ・ショコラ Tarte au chocolat:ガナッシュ(生クリーム+チョコレート)の入ったタルト
- タルト・オ・シトロン Tarte au citron:レモンクリーム(レモン汁+バター+砂糖)の入ったタルト
生フルーツのタルト
生地にアーモンドクリームを詰めて焼き、その上にカスタードクリーム等を絞って果物を飾ったタルトのこと。生クリームは使いません。
- タルト・オ・フリュイ Tarte aux fruits:生地にアーモンドクリームを敷いて焼き、カスタードクリームを絞って生フルーツを飾ったタルト
- タルト・オ・フレーズ Tarte aux fraises:同様にアーモンドクリームとカスタードクリームを敷き、いちごを飾ったタルト
焼き込みタルト
生地にアーモンドクリームと果物を一緒に焼き込んだタルトのこと。
- タルト・ブルダル Tarte Bourdaloue:洋梨を加えて焼いたタルト
- タルト・ノルマンド Tarte normande:りんごを加えて焼いたもの
アーモンドクリームとは、アーモンドプードル・砂糖・バター・卵を同割で混ぜたもの。
フランス菓子に使われることが多いクリームのひとつ。アーモンドクリームを詰めたタルトのことをタルト・アマンディンTartes amandines ともいいます。
タルト生地「シュクレ生地」「ブレゼ生地」「サブレ生地」の使い分け、中身の焼き分けの違いについてはこちらの記事をご覧ください。ちょっとマニアックです…。
タルトの呼び名
タルトは正確には大きさによって呼び名が変わります。でも、パティスリーですべて「タルト」と言っても通じるので大丈夫ですよ。
- タルトTarte:切り分ける大きめのサイズのもの
- タルトレット Tartelette:一人分サイズのもの(直径7〜8cm程度)
- タルトレット・フール Tartelette four:さらに小さく一口サイズで食べれるもの
タルトの歴史と由来
タルトは古代ローマ時代のパイ菓子の一種であるトゥルト Tourte に由来しています。
さらにさかのぼると、古代ギリシアや古代エジプトでも生地を器にして一緒に食べていました。
その時代には蜂蜜やクリームなどが食べられていました。しかし、スプーンといった道具はまだないため、液体のものはそのままだと食べにくい。だから小麦粉などで器を作り、中に液体のものを詰め、器ごと一緒に食べていました。
つまり、タルトとは食べられる器のこと。
現在ではTourteとはパイ包み焼きのことで、中には肉やクリームなどを詰めて焼いた料理のことをいいます。
フランスのタルト