お菓子の由来

ババ・オ・ラムの歴史と由来| Baba au Rhum

ババ・オ・ラムの歴史と由来| Baba au Rhum

ババ・オ・ラムが誕生するまでのお話

ババはスタニスラス・レクザンスキ王 Stanislas Leszczynski が案を出したポーランド料理のひとつといわれています。

スタニスラス・レクチンスキとはポーランドの王様およびロレーヌ公で、ルイ15世の妃マリーの父親です。彼はかなりの食いしん坊で、料理やお菓子についても詳しかったそうです。

このお菓子はポーランドで誕生し、1725年にスタニスラス王によりフランスのナンシーとリュネヴィル Lunéville に持ち込ませました。その後、娘マリーのお付きのパティシエであるストレーStohrerがパリで流行らせました。

1736年ポーランド国王スタニスラス・レクザンスキ Stanislas Leszczynski はフランスへ亡命し、ロレーヌ公国の王となり、ナンシーの近くにあるリュネヴィル城 Château de Lunéville に移住しました。

地図 リュネヴィル城 Château de Lunéville の場所

 

スタニスラス王の娘マリー Marie は、当時のフランス王ルイ15世にすでに嫁いでベルサイユ宮殿で暮らしていました。

スタニスラス王は食いしん坊な王様として有名で、料理やお菓子についても詳しい知識を持っていました。

彼は小さい頃から母国ポーランドで食べていたブリオッシュが大好きでした。そのブリオッシュとはポーランド語でバブカ Babka といい、丸くて大きく王冠の形をしていて、中身にはきざんだドライフルーツがちりばめられていました。復活祭(Pâques)の時期にはレモンで香りつけされたりしていて、クグロフと同じようなお菓子です。

ちなみに、バブカ Babka とはポーランド語で「老婆」や「おばあちゃん」という意味があり、スタニスラス王にとってもおばあちゃんの味でとても懐かしかったのでしょう。

そのお菓子の味が忘れられなかった王は、ポーランドからそのバブカを運んできてもらいました。しかし、その当時は発達した輸送手段はありませんので、当然長時間移動してきたバブカは乾燥してしまいます。

王は娘マリーのパティシエであるストレー Nicolas Stohrer に、この乾燥してしまったお菓子をなんとか美味しくする方法を相談しました。

ストレーはこのブリオッシュにマラガワインに漬け、中にクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)とギリシャ産のドライレーズンをはさんで冷たく冷やしたものを作りました。

スタニスラス王はこの新しくなったお菓子にとても満足して、「アリババ」と名付けました。当時、流行っていて王も愛読していた「千夜一夜物語 Mille et une Nuits 」の登場人物の名前であるアリババ Ali Baba から名付けました。このババが作られたのは1725年~30年とされています。

その後、1730年に彼はベルサイユ宮殿を去り、パリに自分のパティスリーを開店します。それが2区のモントルグイユ通りにあるストレー STOHRER で、パリで最も古いパティスリーで現在でも営業しています。

彼はそのパティスリーでもこのアリババを作りまし、名前はババ Baba としました。さらに美味しくなるように改良していき、マラガワインをラム酒、クレーム・パティシエールをクリーム・シャンティ(生クリームを泡立てたもの)に変えました。

これは今のババ・オ・ラムと同じものです。

ババ・オ・ラムってどんなお菓子なの? フランス菓子の情報 GO!

 

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