シャルロットの歴史と由来
シャルロットという名前は、グレートブリテン王国ジョージ3世の妻で王妃でもあるソフィア・シャーロット Sophia Charlotte の名前に由来しています。
彼女は流行の服を身につけていて、ギャザーと羽の付いた大きくて厚みのある帽子を好んでいました。その帽子の形にこのお菓子が似ていたため、名付けられたとされています。
つまり、このお菓子のほうが先に作られていて、あとで名付けられたんですね。
19世紀当時作られていたシャルロットは現在のものとは似ても似つかない味だだったようです。
その作りかたは、細かく切ったパンを溶かしたバターに浸し、それを型の側面と底に並べ、その内側にりんごのコンポートを詰め、ライムとシナモンで香り付けして、釜に入れて焼くというものでした。
生地を土台にするという点では同じですが、焼成するなど現在のシャルロットとはまったくの別物です。
その後、カレームがシャルロットのレシピを変えていきます。
彼は土台のパンをビスキュイ・ア・ラ・キュイエールに変えました。ビスキュイを細長い形にしたのも彼自身です。(リンク)
さらに、中身をりんごのコンポートからバニラ風味のババロアチーズに置き換えました。チーズはソースにとろみをつけるために加えられたのではないかと考えられます。当時はまだゼラチンは発明されていませんのでソースを固める方法としてチーズを用いました。
さらには冷蔵設備もありませんので、シャルロットは食べる直前まで氷水の中で40分冷やしていました。
現在のように生地を焼かないというのを考案したのもカレームです。
さらにカレームはシャルロットのレシピのバリエーションを広げ、ビスキュイ・ア・ラ・キュイエールの代わりにクロケットを用い、バニラのブランマンジェを詰めたフランス風シャルロット charlotte à la française、ラム酒に浸したスポンジ生地とプロンビエールと呼ばれるクリームで作るイタリア風シャルロットを創りました。
ババロアが登場してきてから、シャルロットはさらに進化をしていきます。
最初のババロアはババロアチーズというものでしたが、オーギュスト・エスコフィエ Auguste Escoffier によりモスコヴィットというソースに変えました。さらに、クリームを泡立てたクリーム(クレーム・シャンティイ)や果物のピュレに変えました。
1976年、ガストン・ルノートル Gaston Lenôtre は濃いクレーム・アングレーズをベースにし、クリーム・シャンティイで濃厚さを加え、ゼラチンで固めることを考案しました。いちごで飾りつけた苺のシャルロット Charlotte à la fraise を作りました。
それ以来、シャルロットのレシピは変わっていません。
現在でもパティシエの学校では習う基本的なアントルメのひとつなのですが、パティスリーで見かけることは少なくなってきているようです。
でも、そのうち流行がめぐり、再び人気が出てくるかもしれません。