お菓子の由来

ガトー・ド・サヴォアの歴史と由来|Gâteau de savoie

ガトー・ド・サヴォア Gâteau de savoie

ガトー・ド・サヴォアの誕生物語

ガトー・ド・サヴォア Gâteau de Savoie ができた由来は諸説ありますが、最も有名な説を紹介します。

中世時代の11世紀からフランス南東部に位置するサヴォア地方と北イタリアを領域としていたサヴォア伯国がありました。

現在のシャンベリーが首都としての機能を果たしていました。

地図 サヴォア地方の位置

 

14世紀後半にサヴォア伯国を統治していたのがアメデ6世でした。

アメデ6世

アメデ6世 Amédée VI

そのころサヴォア伯国も300年近く存続しており、アメデ6世自身も17代目であるため、そろそろ自分が公爵と格上げとなり、サヴォア公国になることを熱望していました。

そのためには神聖ローマ皇帝より公爵という爵位を授からないといけません。

ある日、サヴォア伯国の首都であるシャンベリー城で神聖ローマ皇帝カール4世を晩餐会に招くことになりました。一世一代の出世のチャンスがめぐってきました。

美食家であったアメデ6世はそれを利用しようと画策し、晩餐会の食卓に豪華な城の形をしたお菓子を並べました。

そのお菓子は王冠を載せた壮大な城の形をして、非常に軽い触感で、招待客に大変喜ばれました。

特に、神聖ローマ皇帝カール4世も大変喜びし、シャンベリーでの滞在を延ばしました。

しかし、お菓子は気に入られたのですが、残念ながら伯爵には格上げしてもらえませんでした。

その城の形をしたお菓子を創ったのが、アメデ6世の料理長であるピエール・ド・イエンヌ Pierre de Yanne で、アメデ6世の父親(アメデ5世)の非嫡子でした。

それ以来、サヴォア宮廷ではこのお菓子が欠かせないものとなりました。

城の形をしたお菓子が誕生したのはこの晩餐会の時だといわれています。

ちなみに、アメデ6世の望んだ伯爵への格上げは、彼の孫の代まで待たないといけません。1416年にようやくサヴォア伯国は公国となることができました。

ビスキュイ生地

このときのお菓子はおそらくビスキュイ生地だったことが考えられます。

当時のレシピは現存しませんが、その後17世紀になり、ビスキュイ・ド・サヴォアのレシピがかかれた本があります。その本にもビスキュイと書いてあるので、卵白のみを用いお菓子を作っていたことが想像できます。

ビスキュイとはすでに古代エジプトの時代に存在していました。

Biscuit とは、Bis(2回)+ cuit(焼く)という言葉からきています。2回しっかりと火を通して乾燥させ、保存が効くように作りました。

古代ギリシアやローマでもこのビスキュイを丁字入りのワイン(Hypocras)や甘いワインに浸して食べていました。

ガトー・サヴォアに進化

18世紀に入り、ようやく現在のガトー・サヴォアの形や触感に近づいたとされています。

つまり、卵の卵黄と卵白のどちらも使うようになりました。

1712年にはルイ・レジェの本(Le Ménage de la ville et des champs et le jardinier françois)に卵黄と砂糖を混ぜ合わせ、別に卵白のみをふんわりと泡立て、最後に小麦粉と合わせて生地を作ると書かれています。

サバイヨンの作りかたで生地を混ぜることで独特な触感のお菓子ができると言っています。

さらに、1739年には現在のガトー・ド・サヴォアの形になったとされています。

つまり、砂糖を小麦粉の2倍使ったレシピです。

卵は卵白だけでなく、卵黄も使うことになったことからビスキュイではなく、ガトーと表記するようになりました。

今ではビスキュイとガトーどちらでも言っています。

ガトー・サヴォアはそれ以来、お祭りや晩餐会など華やかな席には必ず供されていました。

18世紀にはテーブルの端にアントルメと共に飾られていました。カレームは食事の最後には華やかさを加えるためにガトー・サヴォアを組み込んでいました。

さらに現代では、パリにあるミシュラン2つ星レストラン Le Grand Véfour では、食事の最後には必ず提供しています。

ガトー・ド・サヴォアってどんなお菓子?  フランス菓子の情報 GO!

 

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