La Chandeleur(ラ・シャンドルール)とは2月2日の聖母マリアのお清めの日というキリスト教の祝日のひとつです。2月2日はクリスマス(12月25日)から40日後にあたります。
この2月2日にクレープを食べるという習慣があります。
では、なぜ2月2日はクレープを食べるようになったのでしょうか。
ろうそくの祭り
シャンドルール Chandeleur はろうそくのお祭り fête des chandelles に由来しています。
当初はキリスト教の祭りとは関係がありませんでした。
古代ローマ時代に人々は、ギリシャ神話に出てくる羊の神様であるパン神 Dieu Pan を祝う祭りを行っていました。たいまつやロウソクを持ってぶらつく祭りでした。
5世紀にキリスト教に改宗させたゲラシウス1世 Gélase 1er は人々にキリスト教の紹介するためにこの祭りを利用しました。

ゲラシウス1世
[画像引用:https://fr.wikipedia.org/wiki/Gélase_Ier]
キリストの誕生から40日後を聖母マリアのお清めの日としました。信者は教会によって祝別されたろうそくを持ち、歌いながら行進しました。
祝別とはカトリック教会で、神への奉仕にあてるために人や物を聖とすること。
これがシャンドルールの祭り fête des Chandeleur となりました。
行進の後は疲れた体力を回復するために、小麦粉や卵の入ったガレットを振る舞いました。
その後、ガレットはクレープとなりました。
クレープは太陽の象徴
現在では2月2日のシャンドルールの祭りにはクレープが欠かせないものとなっています。
クレープを焼いて、フライパンから投げるというのが伝統的な習慣です。
昔は農民たちが行っていた習慣でした。
なぜ、この時期にクレープを焼いて食べるのかというと、クレープは大きくて丸く黄金色をしていて、その形は太陽をあらわす象徴となっているからです。そのクレープを回すことは太陽が周ることを意味しています。
昔の農民たちにとって冬はとても寒く過ごしにくく、農作物も穫れません。なので、春が来るのを待ち望んでいました。
クレープを作ることはまだ食料の貯えがあることと冬の終わりを指しています。彼らはクレープを食べることで春を待ちわびました。
2月2日にクレープを食べるのは、もうすぐ冬が終わってもうすぐ春が来るよということを祝うお祭りのことなんですね。
クレープをまわす習慣
伝統的には翌年に悪いものが逃げていくようにと願い、クレープを連続して投げていました。
また、農民らは古くから幸せと繁栄を願いながら左手に一枚の硬貨をもち、右手でクレープをまわしていました。この伝統は今でも残っており、家庭でも行われることのある習慣です。
現在では、人々がロウソクを持ち行列をつくってねり歩くという習慣はあまり見られませんが、クレープを食べるという習慣だけはしっかりと残っています。