先日の選挙でエマニュエル・マクロン氏が新しいフランス大統領に選ばれました。
フランス滞在1年目で大統領選 élection présidensielle を見ることができたのはとってもラッキーでした。
日本では間接選挙なため、首相を直接選ぶことができませんが、フランスは直接選挙 suffrage direct で大統領を選ぶことができます。候補者がマスコミを通じて発言や討論をするため、むちゃくちゃ盛り上がりました。候補者の発言の善し悪しによって支持率に反映されるので、国民が選挙に参加しているのを感じました。
大統領選で政治っておもしろいなとも感じたし、だからこそ政治や選挙に関するフランス語を単語を知りたいって思いました。
今回は、わたしの中で熱いうちに選挙と政治に関するフランス語単語を大統領選の振り返りと今後のスケジュールとともに紹介していきます。
マクロン大統領のこれからの日程
新しい大統領は5月14日に就任 Investiture します。大統領就任式は大統領官邸 Palais de l’Élysée で行われます。
大統領官邸 Palais de l’Élysée で、首相府は Hôtel Matignon といい、ニュースや新聞では l’Élysée / Matignon とそのまま使われることも多いため覚えてたほうがいいです。
その後、首相 Le Premier Ministre や大臣 Ministres を任命 Nomination します。
6月11日・18日には国会議会選挙 élections législatives が行われます。L’Assemblée Nationale の議員のみの選挙です。
フランスの国会
フランスの国会 Parlement には L’Assemblée Nationale と Sénat と2つの議院 Chambres があります。
L’Assemblée Nationale は国民議会(下院)、Sénat は元老院(上院)と日本語では訳されていますが、日本にはない仕組みだし、日本語にするとややこしくなるのでそのままフランス名で覚えてます。
L’Assemblée Nationale の議員は Député、Sénat の議員は Sénateur といい、どちらもを合わせて国会議員 Parlementaire といいます。
Sénateur は3年の任期で、市長と兼任している場合も多いようです。
例えば、わたしの住んでいるリヨン市長 Maire de Lyon のジェラール・コロン氏は Sénateur 兼リヨン市長です。有名どころでいうと、同様にボルドー市長のアラン・ジュペ氏(右派の予備選に出馬)やフレジュス市長のラシュリン氏(ルペン氏のスポークスマン)も Sénateur と市長を兼任しています。
選挙期間中に彼らはめっちゃテレビに出まくっていたので、記憶にある人も多いと思いますが、彼ら以外でも出演者の肩書きを見るのもフランス語の勉強になりますよ。
[ http://www.rfi.fr/france/20170508-commemorations-8-mai-francois-hollande-emmanuel-macron-cote-cote ]
なぜマクロン氏はオランドの赤ちゃんと呼ばれているのか?
オランド大統領は優柔不断な態度で公約していた政策をほとんど果たせなかった。彼の任期中は失業率も回復せず、テロやデモが国内で多発し混乱を招いた。そのため、通常であれば2期目を目指して大統領選に出るはずだったが、それすらできないほどの支持率の低さと国民の不満がありました。
彼の大統領選時(2012年)は戦う男っていう感じで髪の毛ぼさぼさでかっこよかったんですが、今はエリゼ宮で美味しいものを食べすぎたのか、ぶくぶく太ってる姿を見ても明らか。また、非常事態宣言を解除を宣言したその日にニースのテロが起こったこともオランド氏の無能さを表していると思う。
そんなオランド大統領が経済大臣に指名したのがエマニュエル・マクロン氏ですので、マスコミなどで”Bébé Hollande オランドの赤ちゃん” と呼ばれています。
決選投票前週に行われたマクロン氏とルペン氏の討論会で、最後の締めでルペン氏は “Bébé Hollande” と攻撃してました。ほんとっ大人げない。
フランス大統領の任期
フランス大統領の任期は5年で、その5年間の任期のことを Quinquennat といいます。
2002年のシラク元大統領までは7年の任期 Septennat でした。次のサルコジ元大統領からは5年の任期になりました。
任期 mandat という単語もあるのですが、大統領の任期に関しては上記の単語を使います。日本の首相には任期がないですが、フランス大統領にはきっちりと任期があります。
大臣はよ〜くフランスでも辞任 démission していますが、その度に大統領が任命しています。
左派と右派ってそもそもなに?
新大統領マクロン氏は左派にも右派にも属さない En marche ! という政治運動を起こしたため、中道 Centre ともいわれています。
日本にはない右派 Partie droite と左派 Partie gauche ってなんなのでしょうか。
左派と右派が誕生した歴史
フランス革命中の1791年、新しい国会議員は法案を決めなければならなかったが、一部がその法案に反対した。あるグループは法律を守ろうとしたが、他のグループは変化を求めた。前者は議長の右側に座っていたため右のグループ=右派 Partie droite と呼ばれ、後者は左側に座っていたため左派 Partie gauche と呼ばれるようになりました。
名前の由来はけっこう単純です。
現在でも国民議会 L’Assemblée Nationale では議長から見て左側に左派、右側に右派の議員が座っています。
今ではちょっと複雑…
右党も左党も国を良くしていきたいという共通の目的はもちろんありますが、その方法に違いがあります。右党は保守的で自由、左派は革新的で平等といった考えを基本的にはもっています。
しかし、今では左派と右派の考えを明確にするのは難しくなっていています。
例えば、今回の大統領選でも極右 Extrême droite のルペン氏と極左 Extrême gauche のメランション氏の政策は似ているって批判されてました。まったく真逆の立ち位置なのはずのですが。
こういう状況ですので、中道のマクロン氏が新しい団体を立ち上げることができたのかもしれません。マクロン氏が立候補中も当選後も、左派の代表である社会党 Partie socialiste の議員たちが次第に中道のマクロン指示を表明しています。
フランス大統領選の候補者
フランス大統領選に立候補できる条件は、
フランスの国籍を持っている18歳以上の国民はだれでも被選挙資格があるが、少なくとも30県以上から500人の推薦人(市町村長、ヨーロッパ議会、国会、地域圏議会、県議会などの議員)を集める、とあります。
特に、国会議員などではなくても上記の条件さえクリアできれば誰でも立候補できます。
今回の候補者 candidat の中でも決戦投票 deuxième tour で破れたルペン氏は欧州議会議員 députée européenne で、マクロン氏は政治家 politicien ではなく前経済大臣 ancien Ministre de l’économie でした。
台風の目になって暴れまくってたプチ候補者のプトゥー氏 POUTOU は自動車のルノーの工場員 travailleur です。彼はとても早口でしゃべるのでほんとっに学習者泣かせです。
[ http://www.leparisien.fr/elections/presidentielle/presidentielle-le-show-poutou-sans-cravate-et-sans-pitie-05-04-2017-6826116.php ]
大統領選の結果
今回の大統領選が終わり、マクロン氏が当選したあとに極左のメランション氏の言葉です。わたしは彼のプレゼンテーションが好きでした。こういうイヤミ臭いところがたまらなく好きです(笑)
「当選したのはマクロン氏であることは間違いない。その2人を指示していない層が2番目、ルペン氏は3番目だ。」
ルペンの得票数は棄権・白票・無効を合わせた数よりも少ないためです。
今回の大統領選は誰に投票するのか決まってない人が多くいました。大統領にいちばん近いと言われていたフィヨン氏の不正給与疑惑があったため、フィヨン氏を指示していた層の票の行方が浮いていたんだと思います。そのくらいフィヨン氏が最も大統領にふさわしかったんだろうなと。不正さえしてなければね。
- 投票率 participation:74,56%
- 有効投票 exprimé:66,01%
白票 blanc / 無効 nul:11,47%
マクロン氏 Emmanuel Macron:66,10%
ルペン氏 Marine Le Pen:33,90%
- 棄権 abstention 25,44%
[ https://www.challenges.fr/elections/resultats/ ]
フランスではあらかじめ候補者の名前が印字された投票用紙 bullutin de vote と封筒が用意されていて、その紙を全て取って投票する小部屋(カーテンで仕切られた部屋)には入り、投票する候補者の紙だけを封筒に入れ、投票 vote します。
投票率 participation は74,56%と日本に比べると非常に高く、フランス人も投票は義務と考えている人も多いようです。それでも投票率は今までの大統領選と比べるとかなり低いんだそうです。ちなみに、日本の2016年の参議院議員通常選挙では54.70%の投票率でした。
投票をしなかったら棄権 abstention、投票はしたが封筒の中に何も入れなかったら白票 blanc、投票用紙をやぶったり落書きをしたり他の紙などを入れたら無効 nul といいます。
前回2012年の決選投票での白票・無効票は5,82%で、それでも過去高いほうでしたが、今回は過去最高に高くなっています(11,47%)。
また、マクロン氏に投票した人の理由も「ルペンがイヤだから」が圧倒的に多いのも特徴です。
ですので、今回の大統領選は投票したい候補者がいない、絶対にマクロン氏に大統領になってほしいという強い気持ちがある有権者が少ない選挙でした。
わたしのフランス語単語の覚えかた
フランス大統領選は人と人との文句の言い合いの人間ドラマがあってとても盛り上がってました。わたしもフランス語がまだまだだったけど、知りたいっていう情熱だけでなんとか追っかけてました。
最近は机に座っての勉強が嫌いになったのでこんなフランス語単語の覚え方をしてました。ストーリーにして、他の人に教えるようにすると単語がするって入っていきます。
参考記事:勉強になるフランスのテレビ番組|やっとこさフランス語の勉強を再開しました〜!
でも、こんな興味をもつことがあると、嫌いなフランス語単語暗記も覚えていけそうです。
つぎは何にハマろうかなあ。
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マクロん大統領はフランスをどう変えますか?
EU存続位しか見えない報道しか知りません。
左右が同政策で、中道はどう違う???(笑)
ベーシックインカムの可能性はゼロになりますか?
何故、オランドのべべと皮肉られてますか?
マクロン大統領がフランスを変えれるかどうかは今からです。良い方向か悪い方向かは今は分かりません。
今回の大統領選で極右と極左の候補者の政策が似てただけで、左と右は同じ政策ではないです。
“bébé Hollande”の件は長くなったので本文内に追記しました。
ベーシックインカムは社会党の候補者(アモン氏)がちょろっと言ってただけで、今は話題に上がってないような気がするのですが…。というか、日本で話題になっているんですか?kico