タルト生地にはシュクレ生地・サブレ生地・ブリゼ生地の3種類が基本です。では、これらのタルト生地の使い分けってどう選んだらいいのでしょうか。どういう中身だったら、このタルト生地を使えばいいのか…。
今回は、基本のタルト生地の使い分けかたと生地の特徴について説明します。
基本のタルト生地の使い分けかた
シュクレ生地 pâte sucrée と サブレ生地 pâte sablée の使いわけ
この2つの生地は食感が似ていて、サクサクとしています。
焼成中に生地に液体が染み込みやすいため、生クリームなどの液体を一緒に焼くのは避けたほうがいいです。
また、砂糖を加えていて、生地自体にもすでに甘味がついているため、中身は甘すぎるものも控えたほうがいいです。以前だど、生地も中身も甘いものが主流でしたが、今ではフランスでも甘さ控えめのものに移ってきているようです。有名なパティシエたちのレシピも甘さ控えめになってきています。
シュクレ生地とサブレ生地に最適なタルト
- チョコレートタルト Tarte au chocolat
- レモンタルト Tarte au citron
- 生フルーツのタルト Tarte aux fruits frais
- 洋梨のアーモンドタルト Tarte amandine aux poires
チョコレートタルトの中身には砂糖を加えずに、チョコレートの甘味だけでつくります。そのほかのタルトも中身に砂糖は加えて甘味は付けているのですが、果物の酸味でバランスを取っています。
中身が液体でなく、甘味が控えめであれば、あとは好みで選んでいいと思います。
シュクレ生地のほうが少し固めの生地で、タルトを切る際にもザクザクとしていて、食感もより固めです。サブレ生地はさくさくとして食感は軽いですが、もろく割れやすく、タルトを切る際にボロボロと壊れることもあります。
ブリゼ生地 pâte brisée の使いわけ
ブリゼ生地は砂糖を加えていないので甘味がなく、ほかの2つの生地に比べて弾力性があります。そのため、壊れにくく、水分を吸い込みにくいです。
ブリゼ生地に最適なタルト
- りんごのタルト Tarte aux pommes
- アルザス風タルト Tarte alsacienne
- ノルマンディ風タルト Tarte normande
- キッシュ Quiche
どのタルトも生クリームや牛乳を使った液体を加えるタルトのため、水分を吸い込みにくいブリゼ生地を選びます。キッシュなどのおかず系のタルトもこの生地を使います。
生地の特徴
タルト生地に最適な組合せを抑えたところで、それぞれの生地のの特徴を説明します。
la pâte sucrée(シュクレ生地)
シュクレ Sucrée とは「砂糖の」を意味するフランス語で、ほかの生地よりも多めの砂糖を加えていることに由来しています。ただ、今では砂糖を少なめに加えるレシピもあります。
作りかたはやわらかいバターと砂糖を混ぜてクリーム状に混ぜ、そのあとに粉類を合わせます。
密度が高くしっかりとした生地で、サクサクとした食感で、サブレ生地よりも固く生地が締まっています。
pâte sablée(サブレ生地)
サブレ sablée とは「砂の」を意味するフランス語です。
作りかたは冷たいバターと粉類を合わせサラサラな状態にしたものに、卵などの液体を加えて混ぜ合わせます。バターを多めに加えるため、さくさくとした食感でもろくて壊れやすい生地です。
pâte brisée / pâte à foncer(ブリゼ・フォンセ生地)
Brisée ブリゼとは「砕ける」「壊れる」という意味のフランス語です。タルトやキッシュなどに敷き込んで使うことが多いため「敷き込む」を意味する pâte à foncer とも呼ばれます。
作りかたは冷たいバターと粉類を合わせサラサラの状態にしたものに、水を加えて混ぜ合わせます。上記のサブレ生地と同じ手順です。砂糖を少量しか加えないため甘味がない生地となります。
サブレ生地よりもバターが少ないので、食感はより堅いです。
生地の違い
シュクレ生地 pâte sucrée とサブレ生地 pâte sablée の違い
材料が同じであるシュクレ生地とサブレ生地。材料が同じだから同じ生地になるのではないの?と思うかもしれませんが、できあがりの食感に違いが出ます。どちらも食感がさくさくとしていますが、サブレ生地のほうがよりサクサクとしていてもろい生地となります。
この2つの生地の違いは材料を混ぜていく順番にあります。
作りかたの順番は、
- シュクレ生地:やわらかいバター+砂糖→水分(卵)→粉類
- サブレ生地:冷たいバター+粉類+砂糖→水分(卵)
混ぜる順番の違いで食感に差がでます。
まず、シュクレ生地は液体を油の中に閉じ込めてしまう方法をとります。
しかし、水分と油は混ざらないので、砂糖をバターの中に混ぜ込み、その砂糖に水分(卵)を吸収させて油(バター)の中に綴じ込めたあとに、小麦粉を加えていきます。水分を油に閉じ込めたあとに小麦粉と合わせることで、小麦粉と水分を結びつけるのを防ぎます。
つぎに、サブレ生地は小麦粉をバターで覆ってしまう方法をとります。
バターを小麦粉でこすり合わせるように混ぜ、バターの粒と小麦粉をまぜあわせ、そのあとに水分を加えて混ぜ合わせます。水分と小麦粉が直接くっつかないようにします。粉で油をおおい、水分と合わせることで、小麦粉と水分を結びつけるのを防ぎます。
では、なぜ小麦粉と水分が直接結びついてはいけないのでしょうか?
それは、小麦粉の中に入っているグルテンが関係しています。
グルテン le gluten とは小麦粉に含まれている物質です。小麦粉と水分が直接つなぎ合わせて、練るとねばねばとしていて弾力性のある物質がでてきます。このねばねばの物質がグルテンです。グルテンが発生すると生地に粘りや弾力性が出てきて、焼くと生地が固くなり、口どけが悪くなります。
ですので、タルト生地をつくる際にはグルテンを発生させずに生地をつくらないといけません。そのための作りかたの違いによって、2種類の生地ができ、それぞれ食感が異なるのです。
サブレ生地 pâte sablée とブリゼ生地 pâte brisée の違い
サブレ生地とブリゼ生地は作りかたの手順はまったく同じです。
ただ、材料が異なります。サブレ生地には水分として卵を加えますが、ブリゼ生地は水のみを加えます。(全卵や卵黄を加えるレシピもあります)
また、ブリゼ生地はサブレ生地よりも加えるバターの量が少ないため、生地が固くなります。
いかがでしたか。今回は「タルト生地は3種類の特徴と使いわけかた」について紹介しました。タルトをつくる際には参考にしてみてください。
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