わたしが研修させていただいていたパティスリーであるセーヴ SÈVE にひさびさに行ってみたら、ケーキがものすごく進化してました。見た目が美しいのは以前からなんですが、ケーキの中身の組み立てかたが秀逸になってました。
偶然にこのパティスリーで研修することになった話:運命の出会い*フランスお菓子研修日記
このケーキの感じがトップパティシエなのかなぁと。
セーヴ SÈVE とはリヨンを代表するパティスリーのひとつです。詳しくは「わたしが研修したパティスリーSÈVE セーヴ|リヨンにあるルレデセール会員店」を見てね。
今回は、そんな大好きなセーヴのケーキのパーツ分析をまじめに紹介します。
左がパティスリーのある町にちなんだモンドール Mont d’Or、右が表面がリップグロスのように艶がでてるからかグロス Gloss という名前のケーキです。

【左/モンドール、右/グロス】
GLOSS グロス

Gloss グロス
ここのケーキのデザインはシェフの奥様が考案されているので、女性らしい色っぽいデザインになっているんですね。この艶のある赤色のケーキは店内でも一番目立ってました。
パーツ分析

断面
サブレ・ブルトン Sablé breton
一番下の土台がサブレ生地になっています。しっかり焼いているので固そうですが、口の中に入れるとほろほろと崩れてしまうもろい生地です。
バニラのディプロマット Diplomate à la gousse de vanille Bourbon
サブレ生地の上に乗っているのがバニラのディプロマットです。ディプロマットとはフルーツ入りのババロアなどさまざまなお菓子の名前に使われていますが、ここではスポンジ生地にシロップをしみ込ませた生地のようです。
レモンのスフレ Soufflé citron
ディプロマットの上に乗っているのがレモンのスフレです。グリオットのコンポートを包んでいます。
グリオット Cerises griottes

グリオット griotte
グリオットとは日本語で「スミミザクラ」といい、さくらんぼみたいな見た目ですが酸っぱいため生食では食べず、砂糖と一緒に煮たコンポートなどとして火を通して食べます。火を通すことによって、酸味をおさえて香りや風味を引き出すんだそう。
コンポートにしたグリオットがスフレの中に入っています。
フランボワーズのピュレ Coulis de framboise
Coulis(クーリ)とはピュレのことで、フランボワーズを煮て砂糖と合わせたソースのこと。表面を覆っているのがこのフランボワーズのピュレ。
MONT D’OR モンドール

Mont d’Or モンドール
ミルクチョコレートを使ったケーキです。

Mont d’Or モンドール
パーツ分析
ヘーゼルナッツのダコワーズ生地 Biscuit dacquoise noisette
Noisette ノワゼットはヘーゼルナッツのこと。ダコワーズ生地はナッツパウダーと卵白を合わせた生地。一番下の土台部分。
ヘーゼルナッツのプラリネの板 Feuilletine paraliné noisette

Feuilletine フォユティン
Feuilletine フォユティンとは葉っぱのように薄い生地をフレーク状にしたもの。プラリネのクリームと一緒に混ぜ合わせて、下から2番目の生地の層になっています。
ミルクチョコレートの板 Fines feuilles de chocolat au lait
一番上、その下の2段あるミルクチョコレートのムースの上下に1枚ずつ薄いミルクチョコレートの板が挟んであります。一番上が厚めの板、その下の2枚は薄めの板と厚さが異なっています。
ミルクチョコレートのガナッシュとムース Ganache et mousse au chocolat au lait
上の2段の薄い茶色の層がミルクチョコレートのムース、その下の焦げ茶色の層がガナッシュです。
わたしの感想
恐縮ですが、わたしの感想。
グロスは想像した通りのおいしさです。土台がしっかりとしたサブレ生地で、上のほうが軽いスフレ生地や酸味の利いたグリオットでさわやかなケーキです。
一方のモンドールのほうは、一見ふつうのよくあるチョコレートを使ったケーキなので、だいたい味の想像もできてたんですが、いい意味で裏切られます。
食感がむちゃくちゃおもしろいっっ!!!
ガナッシュとムースはやわらかく口にすっとなじむんでミルクチョコレートの味が口いっぱいに広がり、チョコレートの板の食感が厚さがつが異なるので、厚いのがバリっとして薄いのがパリパリとして、フォユティンのさくさくとした食感へと続きます。チョコレートのケーキを今までたくさん食べてきましたが、一口でこんなにも食感の変わるケーキは初めてでした。
このパティスリー、進化していってる。
おすすめ関連記事
この記事へのコメントはありません。