パティスリー

本場ディジョンのパンデピスを求めて行ってみた!|ミュロ・エ・プチジャン Mulot et Petitjean

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

パンデピスとはフランス語で「スパイスのパン」という意味の甘いお菓子。このお菓子には砂糖は入っていなく甘みははちみつだけ、ということは砂糖ができる前から作られていたお菓子なんです。

パンデピスが昔から作られている町は、アルザス地方やドイツ、ハンガリーなどがあるのですが、今回はフランスのディジョン Dijon という町のパンデピスを紹介します。このパンデピスだけを求めてリヨンからディジョンへ旅してきました。

ディジョンといえば、マスタードとカシスリキュール、そしてこのパンデピスが有名な街です。

ディジョンにはもともとパンデピスが古くから作られている町のひとつなんです。

ディジョンのパンデピスは、パウンドケーキのようなケイク型のお菓子です。アルザス地方で見られるパンデピスはクッキー型になっています。共通点はスパイスを使ったお菓子ということで、作りかたやレシピはその町にそれぞれ特徴があります。

ディジョンにある老舗パテイィスリーのミュロ・エ・プチジャン Mulot et Petitjean がパンデピスでは有名なんです。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

Mulot et Petitjean ミュロ・エ・プチジャン

ディジョンのパンデピスの歴史

まずは、ディジョンにパンデピスが伝わった歴史から。

ブルゴーニュ公国にフィリップ3世という王様がいました。

フィリップ3世

フィリップ3世(フィリップ善良公)在位:1419年 – 1467年

安定した統治を行ったので善良公(le bon)って呼ばれているんです。1430年にジャンヌダルクを捕まえたのはこの人。

ちなみに、フィリップ3世の前後の公は、フィリップ2世が”le Hardi” 大胆で果敢な人で、ジャン1世が”sans peur” 怖いもの知らず、善良公の後のシャルルが”le Téméraire” 無鉄砲で軽率だったといわれています。フィリップ3世がかなり優秀で安定したという王様だったんです。

公国とは貴族が支配している国のこと。王にあたる人物を「公」って呼んでいます。なのでフィリップ3世も貴族です。

ブルゴーニュ公国

ブルゴーニュ公国の国旗

ブルゴーニュ公国はフランドル地方(ベルギーやオランダ)も支配していて、フランドル地方では毛織物の産地だったため、経済的に繁栄していました。

ブルゴーニュ公国

ブルゴーニュ公国(ピンクの部分)

1452年、フランドル地方の都市クルトレー Courtrai(現ベルギー)への遠征中に、小麦粉と蜂蜜で作ったお菓子を献上されます。それを食べてみると、とても懐かしい味がしたんだそうです。

このお菓子は、彼の祖母のマグリット・ド・フランドルの大好物だったというもの。おばあちゃんの味でおいしかったんだろうね。

フィリップ3世はこのお菓子をとても喜び、それを作った菓子職人とそのお菓子をともなってブルゴーニュの首都ディジョンに戻りました。

お菓子やレシピではなく、菓子職人ごともって帰るっていうわがままができるのはさすが貴族の公です。

そこからディジョンではこのお菓子を作るようになったそうです。現在でもパティスリーではパンデピスを一年中作っている店が多いんです。

スパイスはとても高価なものでしたが、ブルゴーニュ公国は裕福な国だったため、スパイスも手に入れることができました。

もうひとつの説は、フィリップ3世の妻であるマグリオット王女から伝わったともいわれています。マルグリット王女は北フランスのフランドル地方の出身で、この地方でもスパイスを使ったお菓子が作られていたといわれています。

どちらの説でもフィリップ3世が気に入って、ディジョンに持ってきたということですね。

ミュロ・エ・プチジャン chez Mulot et Petitjean

昔からあるパンデピスを求めにディジョンに行ってきました。

フランスの真ん中よりやや東よりのブルゴーニュ地方にあるのがディジョンです。パリから南東の方向にTGVで2時間、リヨンからも2時間の位置にあります。

Mulot et Petitjean は1796年創業のかなりの老舗。フランス革命の真っ最中に開業しています。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

Mulot et Petitjean

創始者はBarnabé Boittier バルナベ・ボイティエ氏で、当初からパンデピスを作っていたんだそうです。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

Mulot et Petitjean の店内

その後、息子の Mulot ミュロ氏と義理の息子の Petitjean プチジャン氏が経営者となって今のお店の名前となります。フランスのお店の名前は、シェフの名前か地区名のものが多いです。単純だけど分かりやすいですね。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

Mulot et Petitjean の天井

このお店はお菓子を売っているんだけど、パティスリーっていうカテゴリーではないようです。アントルメ系もないし。コンフィズリー(砂糖菓子)を置いているのでコンフィズリーなのかなと思うけど、パンデピスはコンフィズリーではないのでコンフィズリーではない。

ホームページによると「パンデピス屋さん」のようです。パティスリーでもコンフィズリーでもなくパンデピス屋さん。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice パンデピス

店内に入るとスパイスと甘い香りがしています。そして、お店いっぱいにパンデピスが並んでいます。圧巻です。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice パンデピスの山

大きさはさまざまで、切り口の様子から大きな型で焼いたパンデピスを適当な大きさに切っているようです。

いろんなフレーバーのパンデピスがあるので、好みの大きさで買えるのがうれしい。全体的には大きめです。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice パンデピスの山

見た目は日本のカステラのようです。上下の層が色が濃くなっている。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice パンデピス

カステラのようにふわふわを想像しそうですが、油分のほとんど入っていない生地なのでパサパサです。スパイスの利いたお菓子なのでそのほうが食べやすいかもと思います。紅茶やコーヒーに浸しながら食べるんですよね。スパイスはやっぱり強めですが、甘みも加わっているのでおいしい。

フランスではそのままおやつとして食べますが、フォアグラと一緒に前菜で食べることもあるそうです。贅沢だなぁ。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice パンデピス

こちらはディジョンのほかのパティスリーで買ったパンデピス。ディジョンのパティスリーにはパンデピスが必ず並んでいます。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice au chocolat チョコレート入りパンデピス

パティスリーなので生地はパウンドケーキのようにやわらかくって、中には柔らかめのチョコレートが入っています。アレンジしているパンデピスもなかなかのおいしさです。スパイスはあんまり強くなかったです。

ディジョンのパンデピス Mulot et Petitjean

pain d’épice au chocolat チョコレート入りパンデピス

やっぱり本場で食べるとおいしい♪

店舗情報

Mulot et Petitjean / ミュロ・エ・プチジャン

  • 住所: 16 Rue de la Liberté 21000 Dijon
  • H P :Mulot et Petitjean(ホームページではパンデピスができるまでや歴史が紹介されています)

ぜひディジョンを訪れたら行ってほしいパンデピス屋さんです。お菓子好きさんにはぜひ!

おすすめ関連記事



kico

投稿者の記事一覧

こんにちは!
ただいまフランス・リヨンで生活しています。
フランスのガイドブックに載っていない町を旅したり、その土地特有のお菓子を見つけたり、焼き菓子のおいしくできるレシピを研究したりした情報を発信していきたいと思います。
Facebook、Twitterでのフォローお待ちしています!

関連記事

  1. フランスのバレンタイン限定ケーキ|パティスリーDélice des sens フランスのバレンタイン限定ケーキ|パティスリーDélice de…
  2. タイで見つけたスイーツとお菓子を紹介! タイの伝統菓子から定番と流行のスイーツたち|バンコクを旅して見つ…
  3. リヨンでクグロフとボンボンショコラ|デリス・デ・サンス リヨンのクグロフ|パティスリーDélice des sens デ…
  4. リヨンの中心にあるMOFのいるパン屋さん|Boulangerie Pozzoli リヨンのパン屋さん|MOF取得のブーランジュリー Boulang…
  5. パティスリーのタルト・オ・シトロン|巨大だけどぺろりっと食べれる フランスで一番大きなタルト・オ・シトロン!
  6. いちばん好きなリヨンの有名お菓子屋さん|デリス・デ・サンス DE…
  7. パティスリー・デリスデサンスのビューニュを食べてみたよ|リヨン郷土菓子 リヨン郷土菓子ビューニュ有名パティスリーの実力はいかに?|デリス…
  8. SÈVE セーヴ|リヨンの一番おいしいルレデセール会員のパティスリー わたしが研修したパティスリーSÈVE セーヴ|リヨンにあるルレデ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

最近の記事

  1. お菓子に関するフランス語の本おすすめの4冊を紹介するよ! お菓子に関するフランス語の本
  2. お菓子に関するフランス語単語をまとめたよ お菓子のフランス語
  3. フランス語で「香港のデモ」に関するニュースを読んでみる[RFI:Forte mobilisation à Hong Kong] フランス語
  4. フランス語のあいさつに関する単語と表現
  5. 【半年以上続けて分かった】フランス語マンツーマンの効果とレッスンの選び方 【半年以上受けて分かった】フランス語マンツーマンの効果とレッスンの選び方
  6. パリ=ブレストの作りかた – フランス菓子 Paris-Brest パリ=ブレストの作りかた - フランス菓子 Paris-Brest
  7. プラリネクリームの作りかた Crème mousseline au praliné プラリネクリームの作りかた Crème mousseline au praliné
  8. クレーム・ムスリーヌの作りかた – フランス菓子の基本 クレーム・ムスリーヌ(バタークリーム)の作りかた - フランス菓子の基本
  9. クレーム・パティシエールの作りかた クレーム・パティシエールのプロの作りかた
  10. フランス語がオンラインで学べるおすすめレッスン厳選の6校 フランス語がオンラインで学べるおすすめレッスン厳選の6校

フランス語勉強まとめ

フランス語の勉強のしかたをまとめました。
ぜひご覧ください。

初級フランス語勉強ノート

フランス語勉強のまとめ

フランス菓子

  1. 餅みたいな懐かしい味!アラブ菓子ルクムをフランスで見つけた|Loukoum
  2. リヨンのアイス ショコラオランジュ
  3. リヨン名物のピンクプラリネのアイス

作りかた

  1. マンゴーヴェリーヌのレシピ Verrine à la mangue
  2. とろけるガトーショコラの作りかた gâteau au chocolat
  3. ブランデーのフルーツケーキの作りかた

お菓子の歴史

  1. タルトタタン誕生の物語
  2. フランスのミルフィーユの食べ方 millefeuille
  3. リヨンの伝統菓子クッション
トロペジェンヌの包装
  1. リヨン・ジャコバン広場近くのおしゃれ系パン屋さん|Le pain des Jacobins
  2. パンデピス博物館
  3. チョコレートスコーンの作りかた
  4. ブリオッシュ・オ・ショコラ Brioche au chocolat*今日のおやつ
  5. フランスのバレンタイン限定ケーキ|パティスリーDélice des sens
  6. 揚げ菓子ベニエ beignet |フランスのお菓子
  7. トロペジェンヌ
  8. パティスリー・デリスデサンスのビューニュを食べてみたよ|リヨン郷土菓子
  9. スーパーで買えるマドレーヌ Madeleine Commercy

Twitter

PAGE TOP