パティスリー

ベルナションのチョコレート工場を見学してきた

ベルナションのチョコレート工場を見学
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リヨンのチョコレートの名店、ベルナションのチョコレート工場とアトリエを見学してきました。リヨンに住んでいると、こんなステキな体験もできることがあります。

ベルナションはカカオを独自で取り寄せ、カカオからチョコレートを製造しているショコラティエです。通常クーベルチュールチョコレートになったタブレットからチョコレート菓子などに加工するのが一般的ですが、自らカカオからチョコレートを作っている店は世界でも数少ないです。

説明をしてくださったシェフパティシエの方によると、「ベルナションは変わらない、改革しない、伝統を守るだけ」とのこと。お客さんのことを考えているからこそなんだそうです。

そのため、創業当時から配合も材料も製法も変えていないんだそうです。

ベルナションの近くに住んでいたフランス人は子どもの頃、日曜日の朝にベルナションでケーキを買って、教会のミサに参加して、昼ごはんを食べてデザートにケーキを食べるのが習慣だったそうです。

小さい頃から食べているお菓子などって、結構覚えているものだと思うんです。例えば、子供の頃から知っているカステラや大判焼きの形や味が変わってたらイヤです。

ベルナションも顧客のために味は変えないと言っています。味を変えたらすぐに気づかれるとも言っていました。

現代のなかで、変えないという考え方は時代に逆らっていると言えます。



アトリエの様子

まずはパティスリーのアトリエから。

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右がパティスリー用のオーブンです。

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甘いお菓子だけでなく、クネルという魚料理も作っています。クネルとはかまぼこみたいなもので白身魚のすり身などをまぜてつくるリヨン名物料理です。

その隣りにはもうひとつパティスリー専用のアトリエがあります。

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生のピスタチオから作るクッキーみたいなお菓子。

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アーモンドはイタリアやスペインから取り寄せています。アーモンドやピスタチオなどのナッツは生のものから加工していくんだそうです。香りと風味が既成品と比べると全く違うからだそう。

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チョコレート製造

パティスリーのアトリエの奥にチョコレート製造室があります。

これらがカカオからチョコレートを製造するための機械です。どの機械も古そうなのですが、奥の2台は1910年〜20年代に作られたもの。100年ほど前の機械が今でも現役で使われています。

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南米とマダガスカルを中心に10カ国からカカオを輸入しています。直接輸入しているのではなく、オランダの会社を通して輸入しているだそう。

ベルナションで使われているカカオはすべて希少なクリオロ種のみです。クリオロ種は主に南米で採れ、生産量は全体の3%以下と大変希少な品種です。

一般的なチョコレートはほとんどがアフリカ産のフォラステロ種で、そのチョコレートはだいたい同じ味がします。慣れ親しんだチョコレートの味です。ですが、ベルナションのチョコレートはカカオから独自に入手していて、さらにはクリオロ種を使っていることから、一般的なチョコレートとは全く違う味がします。口にすると、普段知っているチョコレートの味ではないチョコレートの味がするのでびっくりします。

ここがベルナションのチョコレートです。

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輸入したカカオ豆は殻や不純物を取り除きます。カカオではない植物や殻が入っていたり、タバコの吸い殻が入っていることもあるんだそうです…。

この日は前日から働きはじめたばかりの見習い生の男の子がカカオ豆を選別していました。

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カカオ豆は国別に分けて並べておきます。

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これはカカオ豆を焙煎する機械です。

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焙煎して、皮を取り除いたカカオです。これがカカオニブです。

国別に味見させてもらいましたが、国によって味が全く異なります。渋すぎたり、酸味があったり、まろやかだったりします。それぞれ特徴の違うカカオ豆を合わせ、独自のチョコレートになるんですね。

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すりつぶした後のカカオ豆です。

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生のカカオバターももちろん採れます。

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復活祭のチョコレート

つぎはチョコレート製作のアトリエ。

見学させてもらった時期は復活祭の前でしたので、復活祭のためのチョコレート製作のまっただ中でした。ちなみに、復活祭のチョコレートは1月下旬から作り始めるんだそうです。2ヶ月以上前から作り始めなければ間に合わないほど、この時期にはチョコレートが売れまくります。普通のパティスリーで1トンのチョコレートを作成しています。

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こちらは復活祭の卵の形をしたチョコレートです。本物の卵を使っていて、卵の中身を取り除き、中身を洗って乾かして使います。

まずはチョコレートを流し入れ、ガナッシュを入れて、飾りのチョコレート板を飾ってできあがりです。

イマドキ本物の卵の殻を使っているパティスリーも珍しいですが、これもベルナションの進化せずに伝統を守るというこだわりなのかもしれません。

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使っているチョコレート型も金属製です。現在の主流はプラスチック製です。

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チョコレートを流し込んで型を取る行程を見せてもらいました。

こんなアイスクリームが出てくるようなマシンからチョコレート液が流れ出てきます。

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復活祭の鶏の形のチョコレートです。なんと外で乾かしています。

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できあがったチョコレートのオブジェです。

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オブジェの半分ずつ作ったチョコレートは後にくっつけます。

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これがベルナションのスペシャリテのひとつパレドールです。これは直径2cmくらいのものですが、6cmくらいの大きめサイズのものもあります。

中にチョコレートのガナッシュを詰め、表面に金箔をちりばめているのが特徴です。

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ベルナションのチョコレート菓子はイマドキのものに比べると甘くて思いと感じてしまいます。現在のフランスでもパティスリーの流れは、小さめサイズで、甘すぎず、見た目が華やかですが、ベルナションではその流れに沿わず、伝統を守っています。ただ、本来のチョコレートやキャラメルの味がはっきりと感じられます。

見学して感じたのは、ベルナションはやっぱりチョコレートの王様だということ。

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  1. 2018年 8月 29日

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