クリスマスの時期からフランスではお菓子を食べる機会が増えてきます。12月中はクリスマスのブッシュ・ド・ノエルを食べて、1月になるとガレット・デ・ロワを何度も食べます。
1月中何度も食べるお菓子「1月6日に食べるお菓子ガレット・デ・ロワ」をご覧ください。
そして、1月の中頃から、フランス・リヨンではあるお菓子がパティスリーに並ぶはじめます。ビューニュ Bugne という揚げ菓子です。
ビューニュってなに?
フランス・リヨンでビューニュ Bugne というと、薄くてパリパリの揚げ菓子のことを指します。
小麦粉などで作った生地を薄く1mm以下に伸ばし、長方形に切って、油で揚げて、熱いうちに粉砂糖をたっぷりとかけたお菓子です。
大きなくくりで言うと、ベニエ Beignet と呼ばれる揚げ菓子の種類のひとつです。
ベニエとは「ベニエ Beignet|フランスの2月に食べるずっしりとした穴のないドーナツ」をご覧ください。
ビューニュの種類は2つ
ビューニュには同じ名前で2つの種類があります。
- 薄く伸ばしたパリパリタイプ(Craquantes)
- 膨らませてふわふわタイプ(Moelleuses)
パリパリしたタイプは Craquantes(クラッカント)といい、ふわふわタイプのものは Moelleuses(モエルーズ)といいます。下記写真の奥がパリパリしたタイプ、手前がふわふわのタイプです。
ふわふわタイプはドーナツのような揚げ菓子ですが、生地を厚めに広げて長方形に切り、真ん中に穴をあけて、端っこをぐるっと穴にくぐらせる形です。日本でいうと結びこんにゃくと同じ形です。
揚げあがったら、熱いうちにたっぷりの粉砂糖を振りかけるのもぱりぱりタイプと同じです。
リヨンではパリパリとしたタイプが主流です。お店によってはふわふわタイプのビューニュも売っていますが、人気なのは圧倒的にパリパリしたタイプです。研修していたパティスリーでもパリパリのほうが人気で、薄いビューニュばかり毎日作っていました。
いつ食べるお菓子?
毎年、春の始まる2~3月にマルディ・グラ Mardi-gras というキリスト教の行事の時期に伝統的に食べられています。
マルディ・グラの当日だけでなく、今では1月中旬から3月くらいまで、パティスリーの店頭に並んでいるお菓子です。
わたしはちょうどMardi-gras マルディ・グラの時期に、リヨンの小さなパティスリーで研修していたので、このビューニュを作る機会に恵まれました。ほんの短い期間しか販売されないため、みんな楽しみにしているようで、毎日毎日大量に作ってもできあがった先から売れていく人気のお菓子でした。
ビューニュがマルディグラに食べられるようになった歴史は「フランス・リヨンの伝統菓子|ビューニュをマルディグラに食べるワケ」をご覧ください。
地方で変わるビューニュの呼び方
ビューニュの起源は古く、古代ローマ時代からカーニバルの時期の特別な食べものでした。
主に、フランスの南部やイタリアでよく食べられていたようで、名前や形は違うものの今でもその伝統が各地に残っています。
- リヨン付近ではビューニュ(Bugne)
- ランドック地方ではオレイエット(Oreillettes)
- ペリゴール地方ではメルヴェイユ(Merveilles)
- イタリアでは主にキアッケレ(Chiacchiere)
などと呼ばれています。
同じ材料のお菓子で同じ時期に食べるお菓子なのに、地方で呼び方だけが違うんです。
イタリアのChiacchiereは「おしゃべり」という意味なんだそうです。会話が弾むお菓子だったのか、食べる時のぱりぱりって音がおしゃべりぽかったのか…。名前もかわいい。
基本的には揚げ菓子というところは変わらないものの、膨らませてふわふわにしたり、薄く伸ばしてパリパリにしたり、ひし形やねじって結んだ形になってたり、オレンジの皮で香りをつけたりなど、同じ由来のお菓子なのにそれぞれの地方で特色があるのがおもしろいんです。
フランスにあるスペインの飛び地にも同じ揚げ菓子を発見しました。詳細は「フランスの中にあるカタルーニャの町のお菓子」をご覧ください。
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ぜひ、1月中旬から春先にかけてリヨンに来られる機会がある方は、リヨンの地方菓子のビューニュを試してみてください!
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